身分証明書を出せと
日本の運転免許証を出す
首を傾げる
僕は言う
日本ではこれが証明書だって
どれが名前だって言う
工藤清敏 これが名前だって言う
読めないわって
おまえ 日本語が読めないのかって
いいそうになったがここがフランスだと気づく
ここはフランスだったかと言って冗談を言う
あなたは日本人なのかって言われたので
そうだ 世界で2番目に美しい国だと言った
そうですね 日本は美しいって返してきた
それで1番はって聞かれた
それはフランスだよって言ってやった
スーツケースを倒して
女も倒していないのに何度スーツケースを倒したことかと自分にジョークを言う
他人に言ったらセクハラになりかねない
パスポートを取り出して渡した
切符は買えた
64ユーロ セカンドクラス
たったの1時間17分でパリ モンパルナスに着く
トゥールってパリに近いんだね
19号車だった
あと13分で出発だった
プラットフォームはB
遠い そしてセカンドクラスは奥だ
苦労して19号車にたどり着いても24番シートが左か右か分からない
左に賭けてスーツケースは入り口付近に置いてシートを探す
スーツケースが盗まれないか目配りする
シート番号を探したが無い
いろいろ見たが番号はない
あれえ
探し回ってやっと番号を見つけた
席と席の間に電光掲示板的なもの
2センチ四方くらいで色は薄い
視力が悪い僕にはよく見えない
やっと24を探した
スーツケースを運んできた
ところがスーツケースを置くところがない
上に中型くらいのスーツケースは乗せられる
ところが僕のスーツケースは厚さがあり載らない
僕の足元にも入らない
入り口付近のスーツケース置き場は満杯
通路に置いたら人が歩けない
このスーツケースを買ったものの大きくても細さが無いとどこにも置けない
入口のスーツケース置き場が空いていても高さや厚さで横倒ししなくてはならない
どこにも置けない僕のスーツケースケース
そのうちに同じ列に座るおばさんが大きなスーツケースを持ってきた 大きいが細い
彼女も悩んでいた 置くところが無い
僕はいい人になってマダムのスーツケースを上の棚に上げましょうかと身振りで言うとお願いって言われた
上げたら重い 僕がスーツケースの下敷きになりそうだ 重量挙げでギリギリ上がって成功したような感じでヨレヨレだった 手の場所がズレたらおっことしただろう
根性で上の棚にあげた 3/4 は棚に載っている
そしたら隣のお爺さん 僕のスーツケースもお願いって身振りで言う 僕はニコっと笑って棚に上げてあげた 感謝される
マイプレジャーって言ってみた〜
ところが僕のスーツケース どうしよう
僕の足元に13センチくらい角から入れる
そうすると通路で片脚が通れるくらいには空く
太い脚は無理だが標準的な脚の太さの人は通れる
これしか無い
この作戦は成功した
みんな通る人は片足だけ通して横になって通っていくのだ
荷物を持っている人は上に担いで持っていく
誰も文句を言わない
この作戦の欠点はテーブルが引っかかってテーブルが使えないことである ランチを出して食べるわけではない みかんを食べるだけだ
50,000円もかけたスーツケース
買い替えも考えている
自分の分身のようにも思っているからつらい決断だ
パリに着いてもやはり宿の鍵で難儀した
これもなんとかなった
僕が予定より早かったこともある
このくらいは困難でもないけれど!