私の友人であり同僚でもあるショーン・ルーカンは医学博士、
公衆衛生学修士で、アルバート・アインシュタイン医科大学モ
ンテフィオーレ病院の家庭・ 社会医学部准教授をつとめていて
塩に対する考えをまったく変えることになった経験を話してく
れた。
「私はもともと強硬な反塩分派だった。 家には塩入れもなかっ
たし、患者にも『料理には塩を入れるな。 食べるときにも塩を
かけるな』 と言っていた」
彼はこう回想する。
「塩は即高血圧につながって、 その先には心臓発作や脳卒中が
待っているという、 実は確定していない考えにとらわれていた。
ところが、栄養への興味が増すにつれて、私は証拠を求めるよ
うになって、自分が塩を避けてきたこと、患者にしてきたアド
バイスに対する疑念が大きくなっていった」
数年前、アメリカ料理研究所 (Culinary Institute of America)
の栄養学と料理のシンポジウムに参加したことで、ショーンの
見解が変わったのだという。
「料理の素材としての塩は大事だと思うようになって、自分で
も料理に塩を使い始めた。 効果てきめん、 しかも素晴らしい効
果だった。 私はリアルフード (訳注: 素材の形が残っている、 あまり
加工されていない食材) しか使っていなかった。 今ではそんな食材
の味もすごくいいよ」
ショーンの家族は、塩のおかげで料理がおいしくなるので喜
んだが、塩分摂取量が増えても誰も健康を害することはなかっ
た。 彼は、末期のうっ血性心不全を患っていたある患者の治療
にかかわった経験を話してくれた。 彼女は塩分摂取を厳しく制
限されていた。
「彼女が望んでいたのは、 『味のあるものを食べたい』というこ
とだけだったが、 主治医は塩を摂るのを禁じて、家族は家に塩
を置かないようにしていた」
ショーンは言う。
「いよいよ死期が近づいて、私は『塩を摂らせてあげては』 と
家族に提案した。 彼女が代償性心不全 (訳注:心機能の低下を補う
ために起こる代償機能の結果、さらに心筋への負担が増すこと) を起こす
のではないかとおそれ、 気が進まないようだったが、 彼女は本
当に塩を摂りたがっていて、 そんな切実な希望を拒否すること
はできず、 家族も同意してくれた。
それで、どうなったと思う? 彼女はよくなったんだ。 いや、
心不全が治ったということではないよ。 彼女の血圧は悪くなら
なかったし、空気を求めて喘ぐようなこともなくなった。 いつ
ものように病院へ戻る必要もなくなった。 さらに、 彼女は残さ
れた人生の食事と日々を楽しみながら過ごしたんだ。 不合理な
制限で無用な苦しみを味わうのとは正反対にね。
私は今も、彼女が膝の上にひ孫の1人を座らせている写真を
持っているよ。 今は少し大きくなっているけれどね。 その年頃
の子どもにしては珍しくリアルフードしか食べない。 おいしい
と思うだけ塩もかけているけれど、 健康だし問題ない。われわ
れはみんなそうなんだ」
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